ヤツを信じるな
泣きっ面に蜂とはこのことだ。
俺はその日確かバイトを終えて疲れて帰ってきた。
家にかかってきた一通の電話
NTTの委託を受けて電話をかけてきたようだ。
光コラボとか料金が1000円安くなるとか言っていた。
日々の生活に疲れていたのか何故かその話を鵜呑みにしてそのネット回線屋と契約してしまった。
それからというものの数千円高いネット利用料の請求書が毎月届いている。
ネットでその事業者名を調べたときには既に遅くて詐欺業者とか悪名が蔓延っていた。
それから何とかして違約金なしで解約することには成功したが、使った月の分の料金は払えとネット回線にしてはありえない額の請求に苦しんでいる。俺は今何もしてないから払えない。
連絡が来る度に頭が痛くなる。
そんな折ふと大学二年生の時の話を思い出した。当時友人だったAからかかってきた「この学生団体の合宿に来ればお前は変わる」
俺はその時学生生活に不満を持っていて何か足りないと思っていた。
夏休みなのに予定もない生活をしている自分に不満を持っていた。
費用は3泊4日で7万だった。スカウトのバイトでたまたまお金があった俺は参加することにした。
どうやらその合宿の趣旨は参加者との様々な共同作業を通じて夢を見つけるとかいうものであった。
正直終止何をしているのかよくわからなかったし夢なんて見つかるわけもなかったし、何が変わったのかも分からなかった。意識の高そうな大学生たちが皆、口を揃えて、綺麗事と美辞麗句を並べ立てて、屈託のない胡散臭いくらいの笑顔に塗れていて違和感しか無かった。
合宿を終えてからしばらく経って参加メンバー同士でパーティーが行われて、それには行ったがそれ以来彼らとは会ってないし連絡もとってない。
何も残らなかった。
今思えばボンヤリしている学生どもが開催しているその裏に自己啓発系の仕事でメシを食ってる大人が来ていた。はいはい。全てが分かった。
俺いつも騙されてるなって
認めたくないけどその都度カネを奪われているなと。
自分が疲れていたり、日々の生活に不満を持っているところに誰かが声を掛けてくるんだ。
自分がADHDで衝動性で動いて、人を疑うこともロクにしていないなって事が事前にわかっていればこんなことにはならなかったのかなって思う。
ボケは何回も鈍器で殴られないと気づかない。
唯一都内で信じている占いでも、不幸の原因は自分が出せない、人に何言われるかが怖いから言えないことだと言われた。
ある友人は優しいってのは心が弱い人間のことだと宣った。
下衆にはなれないかもしれないけど、自分の本当の気持ちに素直に従って生きなければならない気がする。このタイミングで。
それと人が悩んでいる時に甘い言葉を囁いてくる他人の言葉はもう信用しないことにした。